兎村彩野|Illustrator / Art Director

半分知っていて半分新しいことを見つける

絵を描く以外は、デザイン関係のディレクターの仕事をする日もあるので、手を実際に動かす仕事以外に頭を使う仕事もします。頭を使ってアイディアを出して、色々な企業の方とコンテンツを考える仕事です。コンテンツディレクターとでもいいましょうか。

 

コンテンツを考えるときに自分の中で軸にしている考え方があって「半分知っていて、半分新しいこと」というものがあります。

 

人間とは全く知らないものはビックリしてなかなか安心できません。学校の入学式や習い事の初日なんかはそういう類いかなと思います。逆に全部知っているものは少し飽きていて興味が持てなかったりします。「自分は知っている」という感情は、かなり早い段階で外部からの刺激にロックをかけるなぁと観察していて思います。

人が楽しいとか面白いとか感じるものってなんだろう?って考えていると、たぶん「なんとなく知っていてそこまで詳しくしらないけど興味があってそれが好き」みたいなときに、知らない半分の部分をみつけて触れたときかなと思います。

人が安心して楽しいなと思えるコンテンツとは「半分知っていて半分新しいこと」がまず基準にあるといいのかなと思います。本屋さんで本を探しているとき、少し知っていてもうちょっと知りたかった事が書いてある本に出会うとすごくうれしくてワクワクします。あの感情を沢山の人に届けられる事や方法をいつも考えています。

 

すごく新しいわけではないのでそんなに目立たないですし、パット見て「普通」と言われそうですが、地味にハッピーが届く近道だったりします。この小さなハッピーを地道に地道に繰り返し届け続ける事。それが私の考えるブランディングだったりします。

 

特別ではないけどなんとなく新しい。少し知っているからもっと知りたい。そういうクラッカーを鳴らすサプライズではないものを作り続けたいです。地味ですが確実に届く物作りとはそういうものな気がしています。なので起きている時間はいつもみんなにとって半分知っていて半分新しいことを探しています。きっと見つけるのが私の仕事なんだろうなぁ。

 

奇抜より普通であることは世の中にちゃんと根の張ったいい仕事を作ります。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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