兎村彩野|Illustrator / Art Director

自分のために描く絵が誰かの絵になる日

私は画家ではないので絵に想いのようなものはなく、楽しいから描くだけです。絵を単品販売したくて描いているわけでもないですし、イラストレーターは職業なので趣味で描くというのはどうも違う気がします。

イラストレーターであるときは、自分の思想のようなものは1つしかなく「みんなに優しくあれ」くらいです。あとはクライアントの考え方が、受け取るユーザーの方へ、どううまく繋げられるかを考え行動しています。描きたい物を描いたことはなく、描く必要があるモノを描き、暮らしていくお金をみんなから少しずつ頂くのが私の仕事です。

17歳でプロという人生が始まったので、言い換えると17歳から人のために絵を描いてきました。なので自分のために描くというのはほとんどありませんでした。時間ができて無欲に「楽しいから描く」という日がたまにあるくらいです。

 

そんな中、ここ3年ほど、自分のために絵を描くのが楽しくなってきました。20年も描いていますが、絵は仕事だったので私の中では「職業」だと思っていました。仕事で描いていく中でたくさんの人や企業に出会うようになり、技術や知識が肉体や精神に蓄積されていく中で、自然と成長していたようです。楽しむ余裕を感じられるようになってきました。世界が私を育ててくれました。

夫との結婚も自由に描くきっかけでした。LAMY Sketchが生まれたのも夫のおかげですし、絶対的な安心がある幸せな時間が心も体もほぐしてくれるので、生きることが楽になりました。楽しいと感じる気持ちが、好きに絵を描くの扉を開けてくれた気がします。夫は鍵でした。まさにキーマン。

自分のために描いた絵をFacebookやInstagramでPOSTし始めたら「うさちゃんの絵ほしいな」「うさちゃんの絵が好きだよ」と友人に声をかけてもらえることが増えました。とても嬉しかったです。

 

 

LAMY Sketch

LAMY Sketchのイラストたち

 

仕事で描く緊張感ある絵が今でも一番好きです。

ただ、それとは別に仕事ではない誰の目も気にしない、責任のないただ好きに描く絵もまた、全く違うカタチで好きになりました。私は2つの絵を持つことができるようになりました。20年辞めなかったご褒美かもしれません。「プロでもアマでもない、絵を描くのが好きなただの人」やっとこのラインに来れたのだなと思います。嬉しいです。

 

好きで描いていた絵をちゃんと並べて個展をしてみたいなと思うようになりました。

そんな感じで、ここ数年ずっと、絵をどう出力して見せるかを考えていました。ワタシの絵は半分アナログ半分デジタルなので、完成形が出力になります。なかなか思い通りの感じのものがなく、ずっと探していました。そんな中、先日、ある写真用の商材の展示会へ仕事で出かけた時。かなりよさそうな出力方法に出会いました。運良くお取引先の企業だったので相談したらトントンと話が進み、本日我が家で契約完了です。

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サンプルを出力中なのでどう上がってくるか楽しみです。

今回の個展は作品を販売します。欲しい人が買って家で飾れるようにしたいなぁと思っていたので、飾れる出力です。ちゃんと写真用の特殊なニスが表面に加工されているので直接指で触っても大丈夫。まさに私が作りたかった絵のカタチでした。デザイン関係の出力ばかり調べていたのですが、盲点です。写真商材の中で発見しました。

ひとつずつ個展の準備中。おたのしみにです。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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