兎村彩野|Illustrator / Art Director

好きな事を仕事にしたいと思っている人への私なりのヒント

先日、若者からこんな質問を受けました。

今、絵を描くのが好きで、これから絵を仕事にしたいと考えてるという方からです。

 

「兎村さんはどうやって仕事を取ってきてるんですか?」

と聞かれたので、私なりに20年くらい絵を描いたりデザインしたりしてご飯を食べている方法をお話しました。ちょっと分かりやすく説明するために、今回は絵の質問だったので、絵で説明しました。

 

(1)絵描き以外の職業の友だちを増やす
(2)困ってる時に話しかけやすい人でいる

 

兎村流の仕事の取り方はこれだけだよと。

 

絵描きというものは、あまり他の絵描きさんに仕事を発注することはないのですが(漫画家の先生とアシスタントとかの関係はあるけど、一般的にという感じで捉えて下さい)絵描き以外の人は絵が必要なことが多いので、自然と相談がきます。相談はそのうち仕事に繋がります。

 

仕事とは「困っている」を解決するためにあるものなので、困っている人が話しかけやすい雰囲気でいれば、私より絵が上手い人はいっぱいいても、その人より私の方が話しかけやすかったら、私の方が仕事のチャンスには近くなるなと思っています。

 

仕事は数をこなせば勝手に上手くなるので大丈夫だと思っていて、まずはとにかく数こなした方が良いという法則を私は信じています。基礎練習はもちろん必要ですが「基礎が上手い=絵が上手い」でもないですし、「絵が上手い=食える」でもないのが世の中なのかなと感じて、「困ってる=絵で解決する」これが絵描きという仕事の本質だったりします。ある意味「仕事が上手い」と「絵が上手い」は別の軸の問題なのでしょう。

 

絵描き以外の人と交流していくと「どうして絵が必要なのか」という、忘れがちなスタートの部分も学べるので、いつも若い人から質問がくるとなるべくこんな感じで答えるようにしています。たまに相談を受けると、同じ絵描き同士で固まってる人も多いので、そういうのもとてもいいし、でもそうでない色々な職業の友人がいるやり方もあるよ、と。同業にも異業にも友人がいると色々な価値観に触れることができるので良いのかも知れません。これが理想形。

 

同業で集まってワイワイ同じ言語(ここでいうのは専門用語のこと)で話すのはもちろん楽しいのですが、そのワイワイを異業異言語でも話せるのがプロなのかなと思います。楽しくワイワイしたいだけを望むのであれば、趣味にした方がたぶん幸せなのかなと思っています。

 

これは絵描きに限らず、どんな仕事でも職業でも当てはまる気がしています。

自分の世界しか知らないと、見えてたはずの景色が実は錯覚を起こしていて見間違えているかもしれないし、考え方が固まってしまって、良い方へ改善する変化がしにくくなるかもしれません。

同業も異業も同じようにひとつの風景として捉えられるようになったら、戦ったり比べたり競ったりしなくなっていきます。みんな違っててみんな一緒にいるというこの世界が、感じやすくなると思います。「みんなが違うから比べようがない」という価値観は素敵なことだと思います。

 

そういう風景を見ていたくて、そんな世界が好きで、私は(1)と(2)でご飯を食べる人生を選んだような気がします。実際に20年食べて来れたので、これもひとつのやり方かなと思っています。

 

 

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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