兎村彩野|Illustrator / Art Director

蝦夷とアイヌの尊い歴史「ゴールデンカムイ」

北海道の釧路湿原の近くで育ったので、ゴールデンカムイの漫画に出てくる世界観は幼い頃の原風景に近い感覚があります。とくにアイヌの描写などは身近にあった文化だったのでとても好きでした。着物の模様や生活道具などは街の博物館に展示してあったので(アイヌ文化のコーナーが常設)よく見に行っていました。

私の住んでいた北海道にはアイヌ語が語源になった地名が多く、家の近くにもたくさん存在していたので、不思議な響きの美しい言葉が身近いにありながら大人になりました。

萱野茂さんというアイヌ文化研究者が残して下さった「萱野茂のアイヌ語辞典」という辞書が愛読書ですが、この辞書を使うと北海道の街の名前の意味や、動物の名前などが調べられて、仕事のネーミングにも生かしています。響きがかわいい言葉が多いように感じます。

最終兵器彼女という漫画の伝説的にかわいいキャラ「チセ」もアイヌ語の「家」という意味で、そのもう少し詳しい説明なども辞書には載っています。

 

このゴールデンカムイの作者の野田サトルさんも北海道出身で、私と生まれ育った街は違うかも知れませんが、きっと似た響きの言葉や街が身近にあって育ったのだろうなぁと想像できます。その感覚が楽しくて行間を妄想しながら読んでいます。

少年漫画らしいストーリーや、歴史の絡み、魅力的なキャラターは漫画の設定や構成として素晴らしいのですが、とくに好きなのはやはりアイヌの暮らしや当時の北国も生活文化の描写です。徹底して取材をされているようで事細かく書き込まれている感じが、冒険図鑑のワクワク感を思い出させます。

漫画を越えた漫画で、文献のような情報量。そんな感じで毎回新刊が出るのが楽しみです。ゴールデンカムイ特設サイトもキレイで見やすいです。


kamuimanga

ゴールデンカムイ
野田 サトル

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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