兎村彩野|Illustrator / Art Director

バットマン The BatManga Jiro Kuwata Edition

アメリカからバットマンのTシャツを購入したら、なぜかカタカナのロゴがあり「コレはなんだろう?」と気になっていました。調べていたら1966年から日本で連載していた桑田次郎さんの漫画の表紙を見つけました。

桑田次郎さんといえば、月光仮面やまぼろし探偵がとくに好きです。柔らかい丸みのある線とコマの割り方、スピードと広角レンズのような構図。もともと漫画家として好きなのですが、まさかバットマンを描いていたとは!びっくりしました。

 

バットマン The BatManga Jiro Kuwata Editionという名前で3冊セットのBOXになっています。小学館からでていました。(在庫がもうだいぶ少ないようです)オフィシャルページだとお試し読みができるので良い感じの気持ちよさの本だと確認できます。
バットマン The BatManga Jiro Kuwata Edition
http://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b120788.html

 

アダムウェストバージョンのバットマンの権利問題が解決してから、古い時代のバットマンの復刻アイテムがたくさん出てきました。この漫画の復刻もその中のひとつのようです。「少年キング」連載の全43回と「少年画報」連載の全10回が全部入っているそうで、読みたかったのでとてもお得でした。

本の装丁もBOX入りで、表紙も艶なしのマットなデザイン。とても丁寧に作られている本です。本を復刻したチームの本への愛情をちゃんと感じるコトができます。中にカラーページも挟まりますが、よいマゼンタの色味に調整されていて、漫画好きとしても大満足のBOXセットです。

 

 

このバットマンは、逆輸出のようにアメリカで英語に翻訳されて売られています。前に出ていたものはいくつかの物語の抜粋だったのですが、こちらのBatman: The Jiro Kuwata Batmangaの3冊だとほぼそのまま入っていました。(ただいま、抜けなどないか違いを調査中)

 

 

同じページを開いて読みくらべしたかったので、ペーパーバックで買いました。英語表現と日本語表現を一緒にみることができるので、サボっていた英語の勉強にピッタリ。これなら苦痛無く、英語を読もうという気になれました。私の英語がバットマンの台詞みたいになりそうですが、そこはまぁいいか。

 

版権の問題で何十年も眠っていたはずの漫画が、こんなにキレイな状態で本になり、今、こうしてお小遣いで読める価格で手に入ることに喜びでいっぱいです。

バットマンは約90年続く長い長い漫画です。映画のBlu-rayの特典でDCコミックやバットマンの歴史を知ると、そこにはアメリカや世界の歴史が静かに溶け込んでいて、ただの漫画だとは言い切れない、不思議な魅力があります。日本の漫画に影響を与えたり、逆に受けた影響で描いた漫画がアメリカで称賛されたり。

漫画は、絵と言葉で伝えられるMANGAというコミュニケーション言語になっています。その素晴らしいコミュニケーション言語は娯楽・芸術・エンターテインメントの全部の空気と熱量を巻き込んでぎゅっと凝縮して、いまだ成長を続けている文化のひとつです。こんなに面白く、掘っても掘っても新しい知識と発見に出会える生きた文化。自由に手にとって読むことができる今という瞬間に、尊さを日々感じます。

 

バットマンが好きになった理由はたくさんありますが「はじまりが漫画だったから」という理由も私の中では大きいです。約90年愛されながら沢山の作家が歴史を背負って途切れないように「バットマン愛」をバトンに、繋いで今日まで運んできてくれました。その歴史もキャラクターも、背景も、文化も、全部を私もまた、愛しています。

 

バットマン好きですと名乗るには、まだまだひよっこで恥ずかしいですが、バットマンを残りの人生全部でずっと愛していくことが長い歴史への私なりの敬意であります。

 

 

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
SNSでフォローする