兎村彩野|Illustrator / Art Director

身体に負担が少ない方を選ぶ

AとBどちらにしよう?人生は日々選択するために生きているように錯覚する時があります。そのくらい、生きているというのは何かを選び続けた過去・今・未来でできています。やり直し機能もなく、リセットもできない。なかなか大変な選択作業を毎日毎日続けています。

オトナになると一日が短くなるとよく言いますが、これはきっと、1日の中の選択肢の数が増えて、選択している時間が多いからでしょう。選択するというのは、それだけで結構大変で疲れる作業です。

 

私の場合、欲が強くがむしゃらだった頃は「より良い物を!」「人と違う物を!」と、がんばって背伸びして身の丈以上でも無理して選択していましたが、ここ数年は少しそういう勢いもなくなり、年齢的に精神や肉体が疲れやすくなってきたので、がんばることもがむしゃらも辞めました。「もうそういうのはいいかなぁ」という感じで。

その中で新しく取り入れた考え方が、常に「身体に負担が少ない方」を選ぶでした。

 

身体に負担が少ないという基準はなかなか面白いです。お肉より野菜の方が消化の時間が短いから身体がラクなので野菜を食べる。Tシャツは素材からの身体の負担が少ないからオーガニックコットン。お風呂上がり速く乾くからロングヘアーよりショートカット。人付き合いがスケジュールの中に多いと会う用意が疲れるので友人の数は少なくていい。

そんな感じで、身体に負担が少ないという選択肢は好き嫌いとは少し違う軸が見えてきます。身体に負担が少ない方を選び続けると、ほどよく手抜きしてラクができ、さらに、なかなか健康的な日々が手に入ります。

 

身体に負担が少ない方という選択肢だと、聞く音楽も読む本も食べる物も変わって行きました。見ていてただ目がきもちいい、聞いていてただ耳が気持ちいい、肌触りがただ気持ちいい、とかとか。そういう物は、なんとか健康法と名前の付くモノより、ずっと身体に良いと気付きました。心地よいというのは無理がなく自然体で自分に合っているものということが発見できました。ナニが心地よいかを感じる作業も楽しいです。

その法則で最近ルノアールの絵って気持ちいいとか、高木正勝さんのピアノ気持ちいいとか。今まで好きだったものがもっと好きになったり、よく分からなかったものが新しい見え方で理解できるようになったり。

世界がまた少し新鮮になりました。新しい白です。

 

自分の身体に「負担がないのどっち?」聞いてみる声が山彦のようです。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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