兎村彩野|Illustrator / Art Director

グリーンだよって鼻歌

家のメインテーブルとコーヒーテーブルにはいつも枝物を活けるようにしています。だいたいは藤沢の花屋さんで買えるユーカリかツツジのどちらかで、手に入る季節だけ年に何度かミモザや桜になります。

花も好きなのですが、枝と葉の曲線のテーブルに映る影が五線譜の音楽のように見え気に入っており、手入れをすると一月以上保つので長生きな枝物を特に好みます。

毎日ではありませんが、一日おきくらいに枝を切り枯れた葉を取り除き、水を替え花瓶を洗い。そのほんの30分くらいの時間が妙に気に入っています。

だいたい朝起きて気が向いたらするのですが、柔らかい光の中で手に触れる水の冷たさとか、きれいになっていく枝とか、手に残るかすかな緑の匂いとかが気持ち良く、一通りの決まった流れにお作法のような楽しさがあり、凛と感がもう何年も続いています。

eucalyptus1

手入れが難しいわけでもなく、長生きで、空間を明るくしてくれる枝物たち。水に葉が付かないようにとか、ちょっと気を遣う程度で「ある」と「ない」では随分と日々の気分がかわります。

今日は買い物に出た夫にお使いを頼んだらユーカリが届きました。ばさっと束にして持って帰ってきてくれたので、ユーカリの独特に清々しいような薬草のような香りがテーブルに広がりました。

仕事の合間にちょいちょいと手を入れ活けて。両手がユーカリの匂いでいっぱいになるコト。なんでもないことなんです。本当に。だからなんだっていう話なんですが。自分の手が少しだけ緑色になって植物に近づけたような錯覚が嬉しいのです。すぐ忘れちゃうんですけど。

eucalyptus5

eucalyptus4

eucalyptus3

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
SNSでフォローする