兎村彩野|Illustrator / Art Director

おおいなる勘違いだけで生きてきた。

先日の夜中、突然「五十歩百歩」の意味が気になって調べていました。故事成語だと分かった時に、どっちだったかなぁと迷走。「コップのフチ子みたいな名前の方」だったと思うなぁとぼんやりしたまま寝落ちしました。

翌朝調べて見たら「孟子」でした。

 

学生時代。授業で出てくる漢字の名前の人たちがすごく苦手で、孔子、孟子、荀子、老子、荘子あたりの「○子」シリーズが誰が誰だか区別できなくなりパニックを起こすようになりました。

そこで、どうしたら分かりやすいか考えた結果が「キャラ化する」でした。もともと漢字をイメージで暗記する癖があるので、全員名前をみればすぐに絵は見えていました。

 

この世でワタシにしか分からない日本一役に立たない漢字の名前の人シリーズがはじまります。

孔子:孔雀(クジャク)の人

孟子:さかずき子ちゃん(のちに盃の字を間違えて覚えてると判明)

荀子:タケノコちゃん

老子:おじいちゃん

荘子:めぞん一刻(○○荘っていう下宿のイメージ、ただしめぞん一刻は一刻館で一刻荘ではない)

墨子:書道の墨の棒

曾子:味噌屋

孫子:ドラゴンボール(孫武がドラゴンボールっぽいので)

moushi

結構な数の漢字名の人をこうやって暗記していきました。そして実際にその名前より先に人が出てくるようにしました。「顔は覚えられるけど名前が覚えられない」という記憶力をうまく利用しました。途中からテストの点数はすごく良かったのを覚えています。

 

その時は点数がとれていたのですが、36歳にもなるとその記憶のキャラの強さが先に出てしまい、結局何をした人か忘れてしまいました。覚えているのはキャラのあだ名だけになっていて、本名を知るにはgoogleとwikiが必要です。

 

果たしてこれが人生においてどういう役に立ったのかは謎ですが、確実に言えるのは、ワタシはのちにキャラクターデザイナーとして開花したので、○子シリーズという脳内妄想で遊びながら勉強していたのは無駄ではなかったと言うこと。そしてその時必要だったテストの点数は取れていて、後に別のモノ(キャラデザインという新ジャンル)で点数が取れるようになったということ。

 

学校で点数を取る工夫をしていると、いつか人生の別のモノでも点数を取れる応用力が身についていたりします。

暗記力があればいい話なのですが、自分には文字を覚える能力が極端にないと気付き早々に受け入れ、そのかわりどうやら絵は覚えが良いらしいという長所を発見し、いかに学校というルールの中で苦手を誤魔化しながらノラリクラリ飽きないように頭の中で遊びながら、現実逃避しつつ点数だけは取るかだけを考えていました。

 

だいたいの世界は生きにくいモノだと思っているので、脳内という仮想現実は自分にとっての究極の遊び場で、死ぬまで多分おおいなる勘違いだらけの中で生きているんだろうと思うのですが、他人に迷惑をかけなければ、案外、勘違いのままでもまぁいいかという部分が残せます。

 

おおいなる勘違いだけで、今日まで生きてきました。孟子がコップのフチ子さんみたいだよねって笑い話になるような。笑ってるから良い人生としよう。色々間違ってるけど。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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