兎村彩野|Illustrator / Art Director

純度が高い言葉は目立つ。

書くことは嫌いではないですのですが、特別好きという感じでもなく、絵の延長線にあるもの、もしくはスナップ写真で撮ろうと思ったけどカメラがなかったからキーボードで書いておくかな、くらいのノリで書いていました。

ウサムラマガジンもなんのために書いているかと言えば「とくに理由もなく、なんとなく、たのしいから書いてる」が本音です。

 

絵もデザインも上手くない方なんですが、続けるのが得意で、ひたすら同じ事を続けているとだんだんゆっくり上手くなるという事を知っているので、言葉も書き続けたら上手く書けるようになるのかなぁ?という、ふんわりした実験であったりもします。

 

WEB関係のことを仕事でしています。その中でコンテンツを考えたりするディレクションをしていると、どういう仕組みで人が記事を読むかという勉強しないといけないので知識が自然とついてしまいます。

 

タイトルは数字を入れるといい(例:かわいくなれる3つの技/カレーが美味しくなる4つの秘密/成功するためにするのはたった2つでOK)とか、パワーワードや人気ワードを入れればいい(例:断捨離、お金、恋愛、など)とか、記事の内容がすぐに分かって本文と合っている方がいい(例:初心者でもわかるブログの書き方、誰でもカンタンに二重になるプチプラメイク術)とか。とかとか。まだ色々ありますが、割愛。

 

たしかにその通り書けばSEOは上がりますし、SNSでシェアもされやすいだろうし、読んでもらえやすいだろうなとも思います。上記のタイトルの付けたかなどの戦略は、その通りですし。

 

そういう戦略があると分かってはいても、自分が楽しみで書いている時くらいは策略なんかは気にしないで、ただ好きな言葉で好きに書いてみて、純度の高い「いいな」「好きだな」「楽しいな」という気持ちだけの時間を持ちたいなぁと思っています。その時間が一日の中で今なのかなと。

 

誰でも発信出来る時代がはじまり、ネットの中が誰かの言葉で埋め尽くされるようになりました。書き方指南が溢れ、みんなが作為的に言葉を作るようになったので、なんだか言葉から匂いや色や音が減ってしまったなぁと感じます。

五感の生きている言葉は、書く人が純粋な時にだけふわっと開放的に生まれるのだろうなと。なので五感が感じる言葉が、実は、すごく練ったタイトルより、統計で出る読みやすい言葉より、ネットの中で目立つなぁと思います。

 

純度の高い言葉はなんとなく触れた時に瞬間的にビビッと直感で感じるモノがあります。まだ私にはそれがなんなのか分からないのですが「そう感じる言葉がある」という感覚は信じています。最近そのことをよく考えています。これはなんだろう?と。言葉の技術とも違う純度のようなものがあります。

 

生きていかなければならないので、仕事の時はちゃんと仕事をします。その分、好きで書く時は、自由に自分の本当に好きな言葉で、作為なく、自分の中の純粋な部分で書いていようと思っています。そんな言葉を好きだと言ってくれる人がたまに少しいて、あぁ書いて良かったなぁと思う日がたまにあって、なんとなくポツポツ話題の種になると嬉しいなぁ。

 

油断すると純度は簡単に下がってしまうので、どれくらい純粋でいられるかは、ずっと私が探している感覚です。その感覚がどんなロボットよりも人間が優る部分なのかな、とか。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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