兎村彩野|Illustrator / Art Director

分かっていない物はどれだけ気付いても閃いても会えない

初夏頃に友人とふたりで共同展という個展×個展みたいなことをしようと準備中です。それぞれの作品の他に共作エリアを作ろうと思っていて、2〜3ヶ月どういう作品が良いかずっと考えていました。

なんかこう、いつも物語から考えるので、ふたりの持っている世界と大事にしていることで共鳴している部分はなんだろうとずっと探していて、やっと分かってきた。


「分かる」が大事で、「気付く」とか「閃く」ではなく、ずっと昔から本当は自分自身で知っていて忘れていることを探す作業が好きです。
「気付く」や「閃く」は手で表現すると一拍で、パンッていう一瞬の音とそのちょっとあとの余韻までって感じ。「分かる」は手のひらを合わせてその真ん中に生ぬるい温度があってその温度が生きてる証で、その温度を感じる時みたいに思います。ずっとそこに体温はあるのに当たり前すぎて忘れていること。実はこういうものはとても美しくてとても優しくて、静か。

 

静かなるモノはコミュニケーションを取ろうとしないと、会えないものでもあるので、声の大きなモノよりずっと面白いです。最近、声の大きなモノばかり世界に増えていて、それが数値化されて順番を付けることができるので、ますます静かなるモノは遠くに逃げてしまった気がする。

 

「気付く」や「閃く」は「分かる」をサポートしているもので、分かっていない物はどれだけ気付いても閃いても会えないと思う。

本当はみんな分かってる。でも生きていくために少し忘れてる。その忘れている方に会いに行く作業ばかりしているのが、たぶん私の個性なんだろう。

 

やっと共作の言葉とか意味とか分かってきたので、先ほどその友人にメールして見たら「すごくいい!」と言ってもらえたので嬉しかった。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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