兎村彩野|Illustrator / Art Director

手帳の小さなイラストに使える裏抜けしにくいペン選び

Twitterに手帳の画像を投稿していると、時々質問をいただきます。

今日は「手帳にコピックで小さな絵を描いてみたい」というメッセージをいただきました。個人的にコピック手帳は大好きなのですが、アルコールマーカーはかなり裏抜けをします。撮影用の手帳を作るとき、用途でペンを使い分けているので、取り入れやすいく、小さな手帳用のイラストに着色しやすいオススメペンをご紹介します。

 

 

黒の線画にカラーを塗る場合、黒いペンは「耐水性」を選びます。油性は裏に滲んで扱いにくいのでNG。耐水性であれば乾くと水に溶けにくく、書き味も良いのでオススメです。

各メーカーから色々なペンが出ていますが、コピックのように専用のライナー(線画を描くペン)を用意している場合は、同一ブランドに揃えます。メーカー推奨なので、インクの相性が大変良く、安心して使えます。

 

私の場合。ペンを3つのグループに分けています。

 

A:万年筆グループ( ❶ + ❷ )


水性インクの万年筆は他のカラーペンでインクが溶けてしまうので、モノクロでシンプルに描くことが多いです。万年筆1本とベタ塗りに筆ペンを使い、2本だけでさっと仕上げます。万年筆はカスタマイズなどはせず、メーカー推奨の使い方を守り、同一メーカーのペンとインクを組み合わせています。(別メーカーのインクを入れると故障しやすかったり、保障がきかなくなったり、自己責任になります)詳しくは著書でまるっと一冊使って紹介しています。
http://simple-sketch.com/book/simple-sketch/

 

B:コピックグループ( ❸ + ❹ )


コピックはメーカー推奨の道具がほぼフルラインナップで揃っています。コピックで揃えるとトラブルなしで使えるので、他のブランドやメーカーと混ぜないで使います。特にマルチライナーとコピックの使い勝手と相性がとても良く気持ちよく、安心して制作ができます。とはいえ、どうしても万年筆と組み合わせたい時もあるので、そういうときはしっかり乾かしています。

 

C:ミックスグループ( ❺ + ❻ + ❼ + ❽ )


PIGMAの耐水性ペンは書き味が良く裏抜けも少ないので、愛用している線画用のペンです。このペンで線画を描き、しっかり乾かしてから好きなカラーペンで着色します。たまに少しカラーペンのインクでPIGMAの黒が溶けることもありますが、滲んで気になるほどではないのでなるべく何度も塗り直したりしないで、溶けないように気を使い、ペン先が汚れたら紙で掃除してメンテナンスしてカバーしています。メーカーとブランドをミックスして使えると、好きなペンを組み合わせるので自分の描きたい気持ちを優先できて、この描き方も好きです。

 

 

実際に小さなイラストを描いて、着色してみました。

今回はコクヨの「ジブン手帳」の後半に付いているフリースペースがあまっていたので、そこを使ってテストしました。一般的な手帳の紙なので参考になるかと思います。

 

 

A:万年筆グループ( ❶ + ❷ )

画像下のモノクロで仕上げた家の絵です。シンプルですが、万年筆特有のインク溜まりもあり味わいのある絵になりました。モノクロでも筆ペンでポイントを黒で締めると余白とのバランスが良くなります。


B:コピックグループ( ❸ + ❹ )

画像上のカラーで仕上げた家の絵です。コピックとコピックマルチライナーを使って描いた家は黒の線画の滲みもなく、色も水彩で塗ったようにやわらかいムラでかわいく仕上がります。

 

 

裏抜け具合です。上のコピックはかなり抜けます。この滲んだ抜けが個人的に好きで、コピック手帳をするときは片面しか描かず、この滲みを楽しみます。もこっとして裏ページが好きなんです。

下の万年筆も何度かペンが往復した箇所は抜けます。万年筆で裏抜けを全くしない手帳にまだ出会ったことがないので、こんなもんかなぁという気はします。万年筆で手帳を書くときも、基本片方のページしか使っていません。

 

つぎはミックスペンで着色テストです。

 

 

線画はすべてPIGMAの0.3です。描いた後、コーヒー一杯飲む時間くらい乾かしました。

上からTonbow ATB、soft marking pen、STABIOです。

 

Tonbow ATB
撮影用手帳を作るときに一番使うペン。裏抜けが少なく、ブラシと細書きがあるので作業しやすいです。色の設計も落ち着いたトーンが多いので、自然な色味の手帳に仕上がります。専用のライナーペン(線画を描くペン)がないのか、持っていないので、PIGMAと組み合わせて使っています。少しペンの中ではお値段がするので好きな色だけ購入しています。(Tonbow ATBって専用ライナーあるのかなぁ??不明)

 

soft marking pen
ダイソーで見つけたちょうどいい色味のペン。セットで売っていました。この中では断トツのお手頃感です。蛍光ペンのような質感なのですが、softというシリーズだけピカピカした発色ではなく、落ち着いた色味をしています。ペン先がお得な分、精度が甘めですが、さささっと塗るくらいなら問題なく使えます。ペン先がマーカータイプなのでブラシのように細かく塗れません。ざっくり塗って、ゆるさを楽しんでいます。

 

STABIO
ドイツのオシャレなペンです。細めで堅いペン先なので、小さなアイコンを描くときにとても便利です。色数も多く、色の設計もドイツらしいキレイな発色です。くすんだ感じの色もオシャレ。ベタ塗りは苦手ですが、マンスリーなどの小さなアイコン描きには向いています。ペン自体のデザインもキレイだったり、細くて軽いので持ち歩くにもよさそう。

 

 

裏抜けはこんな感じで、STABILOは裏抜けしやすいのではなく、ペン先が細くて面を塗る往復回数が多いので抜けて感じます。小さいアイコンなら問題ないです。Tombow ATBはとても優秀で、片方がブラシ・片方が細描きで、面もテキスタイルなどの柄描きもスムーズにでき、着色しやすく裏抜けもしにくいです。soft marking penも蛍光ペンのような感じなので裏抜け少なめ。

 

この3本は裏抜けしにくいので、マンスリーを描く仕事では使っています。マンスリーはどうしてもめくると翌月があるので、抜けにくい道具を選びます。

逆にフリーページを描く時は、裏抜けを気にせず、インクの仕上がりの美しさでコピックを選んでいます。仕上げて一晩乾かしたインクの美しさは、やはりコピックが最強だなぁと思います。インクに締まりを感じます。

万年筆はもともと絵を描くメインで使っているので、気分で。手帳を書くペンというより、絵を描く道具になっています。

 

 

手帳に小さなイラストを描いてカラーペンで着色する場合、どう手帳を育てたいかでペンを選んでいます。裏抜けしてOKかNGか。まずはここで選択肢を絞るのがオススメです。片面使いのコピック手帳、流行ると良いなぁとは思っています。

 

 

 
小さい絵をたくさん描きたいときは、こんな使い方も。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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