夏くらいにネコのマークがかわいいで有名な新宿のBibliophilicへ買い物で寄ったら「喫茶店の本特集」をしていました。その時に何冊かぺらぺら立ち読みしていたら出会った本が「純喫茶、あの味」でした。何店舗かの紹介文を熟読してしまったのですが、どの紹介文も喫茶店愛に溢れていて「あぁ、なんていい本!」と痺れてしまい、一気にファンになりました。ぱっと見すごく熱量のある表現ではないし、むしろ物静かな感じの言葉なんですが、その奥にそこはかとなく匂ってくる著者の好きという気持ちがビシビシ伝わってきました。俗に言う行間に愛が挟まってるタイプの本です。
本を読むときに、そこに愛があるかどうかは、正直作者の人に聞いてみないと分からない部分ではあるんですが、私が本屋で言葉惚れ買いするのは、2〜3ページパラパラ読んだときに脳内で分析するよりももっと直感的に「あぁ、なんだかこの文章を書いた人のエネルギー好きかも」という感覚になれた時です。
愛が目に見えるものではないのは分かりますし、私が凄腕編集者で文章の表現のテクニックを読み取れるわけでもなく、ただの本好きなだけなんですが、本全体から加味し出される熱量が愛なのかなと思っています。
そのもわ〜っと感じるエネルギーをもった愛がこの本から感じました。「この人!喫茶店本気で愛してる!」ナニカをとても愛している人には敬意のようなものがあり、その対象がなんであれ、好きというエネルギーを持っている人が大好きです。
と、愛ばかり語っていますが、著者の愛情ある説明で「あぁ喫茶店いってみたい」と気持ちが高まったら、実際に本片手に喫茶店へ行ける楽しさもあるので良い本だなぁと思っています。
そんな感じで、昨日友人の田丸くんがTwitterで「純喫茶、あの味」を紹介していたので「この本面白いよね」と話しかけてみたら、とんとんと話が盛り上がり繋がりに繋がって著者様まで繋がってしまった、という。すごい。Twitterすごい。
ひさしぶりに「純喫茶、あの味」読もうと思って、コレに似た本あったなぁと思い出し、田丸君が色々な作家さんのショートストーリーをセレクトしたオムニバス本「ショートショートの缶詰」を本棚から出してきてみた。
片方は小説で、片方はエッセイ(グルメ本?)で。でも私の中ではどちらも著者の愛あるオススメが詰まった本な感じで同じに見えます。喫茶店のメニューを選ぶ愛と、ショートストーリーを選ぶ愛は、形は違えど熱量は同じ気がしました。
偶然にも表紙が2つともクリーム色なので。二人の愛情をぺろりと味見読みします。
純喫茶、あの味
著者:難波里奈
ショートショートの缶詰
著者:田丸雅智