兎村彩野|Illustrator / Art Director

万年筆の水性インクはカラーペンでどれくらい溶けるんだろうを調べる

万年筆がブームなので、手帳も万年筆で描きたいという方が増えています。万年筆のインクには水性と耐水性がありますが、色を楽しんだりするメジャーなインクは通常「水性インク」のことが多いです。

 

ちなみにですが、インクの特性を表現しようとすると「顔料」と「染料」に大きくわけることができます。(私の書籍でも「顔料」と「染料」でご紹介しました)詳しくは「毎日、文房具。」さまの『インク沼の住民が教える「万年筆インクの基本」』の記事に丁寧にまとめてありました。こちらの記事を合わせて読んでいただけると分かりやすいかなと思います。

インクの特性としての「水性」「耐水性」で今回は記事を書いています。分かりやすく、水で溶けやすいインクと、水で溶けにくいインクという感じです。インクにはもっと細かく分類があったり、メーカー毎の差がありますので、詳細は各メーカーの仕様をご確認下さい。

 

 

水性はなめらかで固まりにくく、書き味も良い。その特性を生かして色を作りやすいため人気ですが「インクが溶ける」という弱点があります。

とくにカラーペンと水性インクは組み合わせるのが難しくメーカーで推奨しているものは、私の知る中ではありませんでした。(もしそういうオフィシャル情報を知っている方がいましたら教えて下さい。調査中です)

 

万年筆の水性ペンはなるべく一色でまとめようと思い込んでいたのですが、一色で手帳を仕上げていると、アクセントでほんの少しでいいからカラーを入れたいなぁと思うときがあります。

ふと「水性インクってどれくらい溶けるんだろう?」と思うようになり、実験をしてみました。色々なメーカーのインクがありますが、今回は私が使い慣れているLAMYのインクで実験します。

 

今回は4種類でテストしてみました。

  1. LAMY safari FE [ブラックインク] × Tombow AB-T
  2. LAMY safari FE [ブラックインク] × コピック
  3. LAMY safari FE [ブルーブラック] × Tombow AB-T
  4. コピックマルチライナー [ブラウン] × コピック

※LAMYに入っているインクはLAMYオフィシャルのインクを使用。
※メーカー違いの組み合わせは利用者の自己責任になりますのでご理解ください。

 

実験手順のルール

  • ペンで同じイラスのアウトラインを描く
  • 全体に線画を少し乾かす
  • 上のイラストは線のギリギリまで塗る
  • 下のイラストは線の内側だけ塗る
  • 乾かして確認

※紙の下のイラストは線の内側を塗っていますが滲みで埋まっている箇所があります。

 

LAMY safari FE [ブラックインク] ×  Tombow AB-T

 

LAMYの万年筆で玉子食パンを描きました。

顔料ペンの代表格・Tombow ABTで黄身を着色。上のイラストの黄身の部分を擦ったらかなり溶けました。下のイラストの内側だけ塗った方は黄色でも大丈夫。

濃い色は溶けても気付きに聞く、黄色など薄い色は溶けると濁るので気をつけた方がいいかなぁという印象。正直、想像より溶けていない印象です。

 

LAMY safari FE [ブラックインク]  ×  コピック

 

続いて万年筆とコピック。これが驚いたんですが、アルコールマーカーであまり溶けず。これはビックリ!でした。もっとじわじわに溶けると予想していたので、全然違う結果が出ました。万年筆とアルコールマーカーは相性が悪いという口コミや噂もあったので、今まで組み合わせたことがありませんでした。

(変わった描き方で、アルコールマーカーで先に塗り、ガッチガチに乾かしてから万年筆で書き足すという描き方はしています。書籍でも紹介しました。)

万年筆で描いた線をコピックのブラシで擦ると、やはり溶けやすいです。そこで線のギリギリ内側を塗ると、滲んで自然にじわーっと線までカラーが伸びるので、擦る必要ないなぁと実感。

これは線を擦らないというルールさえ守れば手帳でも使えそうです。

 

LAMY safari FE [ブルーブラック]  ×  Tombow AB-T

 

ちょっと変化球で、万年筆で人気のダークブルーとTombow ABTのブルー系二色で塗り、オールブルーというカラーシリーズで着色。青写真ような仕上がりで最近のお気に入り。こちらも、同じ同系色の青でまとめることで、溶けは「絵の味わい」程度にしかなく、ほとんどストレスありませんでした。

同系色でまとめるオールワンカラーシリーズは、キレイに簡単に仕上がるので、まとまりを大事にしたい方にオススメです。

 

コピックマルチライナー [ブラウン]  ×  コピック

 

メーカー推奨はほぼ溶けないので、オールブラウンの様子をみるのと、万年筆の線の溶けと見比べるように、コピックライナーとコピックで着色。やはり全然溶けません。これが溶けない状態の基本になるので、(1)や(2)と見比べると、どこが溶けてどこが溶けなかったか分かりました。

おまけ。オールブルーが先日Twitterで好評だったので、試しにオールブラウンしてみたんですが、オールシリーズの落ち着いた仕上がりいいなぁと思います。

 

 

万年筆とカラーペンの実験まとめ

 

 

思っていたより溶けないので、水性インクの万年筆とカラーペンを組み合わせるのは悪くなさそうです。

良く乾かすことと、ペン先で万年筆のインクを擦らないことがポイント。擦れるとペン先に溶けたインクが付着して汚れるので、万年筆で描いた絵の内側だけ塗るが良かったです。少し余白が出来ますが、むしろ味わいだと思えば、かわいい絵になりました。

メーカー推奨の使い方ではないので自己責任になりますが、絶対にダメ!超溶けちゃう!というわけでもなかったので、私も万年筆で絵を描くときに、ポイントカラーでTombow ABTやコピックを組み合わせようと思いました。

 

今回のカラーペンの実験より、雨でずぶ濡れになった日の方が溶けたなぁ。

※記事に関してのお願い
万年筆のインクはメーカーにより差があります。今回の実験は私のメイン万年筆であるLAMYのインクを使用しています。

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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