兎村彩野|Illustrator / Art Director

イラストを楽しむ究極のサブ手帳『兎村手帳』

仕事で撮影用の手帳を毎月何冊か作ります。そのため、大量に手帳やノートをストックしていますが、実際に自分が使いたいなと思うノートがなかなか見つからず。

最近、オンラインからデザインデータを作れば小ロットでオーダーノートを作ってくださる会社が増えたので「だったら作ってしまおう!」とオリジナルノート作りをはじめました。

 

本日そのノートが納品されたので自分でレビューします。

 

ノートのコンセプト

今回のノートの一番大きなテーマは「メイン手帳」と一緒に使える「サブ手帳」を作る事でした。私もスケジュールはマンスリー手帳を使っていますが、日々、小さなイラストで描くので、ある程度自由に描け、日付など定型の所は決まったら枠がある手帳が欲しいと思っていました。

手帳とノートは、ほぼ製本の仕方が同じなので、実は境界線が曖昧な文具です。手帳もノートも仕様を少し調整するだけ(紙の選定、表紙の加工、中ページの印刷など)どちらにも仕上げられます。今回の手帳は、手帳とノートの良いところを組み合わせて作りました。どちらにも属することができます。手帳と呼べば手帳。ノートと呼べばノート。どちらでも自分が使いたい感覚で使えます。

 

大きなサブ手帳というジャンルに特化するために、手帳メーカーの作る手帳とは棲み分けを決め、次にもう少し具体的に今回作りたいサブ手帳に必要な要素を出しました。

 

  1. 大人が使えるオシャレなデザイン
  2. サブ手帳に特化する
  3. イラストを楽しむに特化する
  4. 文具をインテリア化する
  5. A5スリムワイドのサイズ感
  6. 一ヶ月で使い切って達成感がある

 

大きくこの6点をベースにしています。ちなみに今回は私が描いているイラスト手帳に使いたいので「イラスト」という軸にしました。応用でコラージュとも相性が良いです。

 

それぞれを詳しく紹介します。

 

❶ 大人が使えるオシャレなデザイン

サブ手帳

 

「隣の芝は青い」という私のMYテキスタイルがあります。ぱっとみて私のデザインだと分かるのと、人と自分を比べないように「人は人、私は私」という気持ちを忘れないために、ふっと思い出せるような秘密の暗号です。

日本の文具や雑貨はデザインが少しかわいいことが多いのと、女性向け文具が安易なピンクに寄り過ぎていて少し辛いなと思うことが多々あるので(もうそろそろ「ピンク=女性用」という会議室で生まれる謎の色決めをメーカーは卒業してもいいと思う。意思のある計算されたピンクは美しいけれど、安易なピンクはユーザーにバレてますよ、と思う。)、少しスッキリした性別という要素をなるべく抜いた大人が使いやすいデザインにしました。色とデザインは私が大事にしている気持ちを優先して形にしました。

キレイなウサムラブルーが出たので、気に入っています。

 

サブ手帳

 

中面はグラフィックデザイナーの夫に文字詰めやデザインの調整をしてもらったので私のバージョンよりキレイさがバージョンアップしています。さすが餅は餅屋。

 

❸ サブ手帳に特化する

 

メイン手帳はすでに持っている人が多いのと、作っているメーカーやブランドが多いので、私が作る必要はないなと思っています。どのメーカーの手帳もとてもキレイで機能的なので、私自身も選ぶ楽しみを感じています。なのでそのメイン手帳と一緒に使えるサブ手帳に特化させました。

薄手でメイン手帳と一緒に持ち歩いてもジャマになりにくく、表紙にPPマットフィルムを使ったので汚れにくく手触りもよくしました。あくまで主役にはならずに「サブ」という存在です。

 

❹ イラストを楽しむに特化する

サブ手帳

 

小さなイラストを描いたり、お店のショップカードや半券を貼ってコラージュしたり。私がイラストを描いて手帳を楽しみたいので、文字と絵の描き心地がよい紙を選びました。

非塗工という紙自体に薬品で加工をしていない紙なので、万年筆の金属のニブでも安心して描けます。画用紙のように紙の表面に凸凹がないので、フラットな表情を楽しめます。味わいより、フラット感をお楽しみいただけます。

フラットな紙は万年筆やコピックなど画材のような筆記具とも相性が良く、仕上がりも均一でキレイなページに仕上がります。私の手帳術で紹介している「なぞり描き」もしやすいように、スケ具合がちょうどいい紙の厚さにしました。

 

❺ 文具をインテリア化する

サブ手帳

 

使わないとき、ラックやチェストの上に置いていても違和感なく佇むように、文具をインテリアのように考えてみました。

文具のある風景ごと想像する事で、暮らしに馴染む手帳になります。ウサムラブルーはモノクロとも相性が良いですが、イエローなど組み合わせるとPOPに。机の天板が木でも白でも黒でも相性がよいです。しまわない収納を楽しめる文具です。

またインテリアの楽しみと言えば「コーディネート」。文具も1点ずつの個性だけではなく、全体に並べてバランスが良い組み合わせでそろえるのも素敵だなと思っています。ウサムラブルーは色々な色と相性が良いので、シンプルなメイン手帳と組み合わせできます。

 

❻ A5スリムワイドのサイズ感

 

色々なサイズの手帳を今まで作ってきましたが、描くのにかかる時間のバランスが一番ちょうど良かったのがA5スリムのやや幅が広い「A5スリムワイド」でした。たぶんトラベラーズノートが近い比率だと思います。

面積が狭いので書き込み量がそこまで多くなくてもバランスがとれ、縦長のアイテムも描きやすく(たとえば、全身ファッションや、パフェ、クリームソーダなど)ほどよい満足感のある描き量で、このサイズに落ち着きました。

慣れると写真くらいのノートは30分くらいで描けるようになります(ノートの枠線はサンプル時代なので手描きです)

 

❼ 一ヶ月で使い切って達成感がある

サブ手帳

 

手帳やノートを描く方をリサーチしていて分かったのですが、ページ数が多いと途中で描くのが辛くなってしまったり、なかなか終わらないので次の手帳に進めなく手帳のストックが増えてしまったりという意見でした。たしかに、手帳やノートを使い切った時の達成感はとても気持ちが良いのですが、達成感を味わえるタイミングは少ないなぁと。

それなら、ページ数を減らして一ヶ月で使いくれるくらいにしてしまえば、毎月達成感があるのではと思いました。64Pの手帳ノートですが印刷されている枠があるページは32枚です。毎日、片面1Pを使って描くと、ちょうど一ヶ月くらいで終わります。ゆっくり描いても2ヶ月くらいでは終わりそうなので、通常のノートより達成感の回数は増えるはず。

達成感は人を幸せにするなぁと思います。自信もつくし、とてもよい感情・感覚だと思っています。

 

 

こんな感じで、私の気持ちや経験、リサーチで得た知識など、色々なモノを混ぜてアウトプットしたら、こんな手帳ノートが完成しました。私もサブ手帳として使っていきますが、他の人が使うとどんな風に仕上がっていくか楽しみなので、テスターを募集することにしました。人気があれば販売も検討します。

 

現在の作ってみて兎村手帳ノートの問題点は

  • ロット数が少ないので単価が高い
  • 表紙の印刷レベルが甘い
  • カラバリやデザイン違いを作ると在庫が増える
  • 50冊をひとりで使い切るのが大変
  • 中とじではないもう少し丈夫な製本で仕上げたい
  • 少し表紙を堅くしたい

 

単価が高いのがネックで、私用には良いのですが、なかなか簡単にネット販売が出来ないところです。今の仕様だと兎村のデザイン費と人件費を抜いて、製品原価だけでも一冊600円くらいになってしまいます。ECサイトの手数料や送料を足していくと、1,000円くらいする小さなノートになってくるので、気軽に販売しますと言いにくかったりします。

この辺の問題はロットが増えれば解決できるので、クラウドファンディングするか、予約販売でロットを確保してから販売するかなど検討が必要です。

 

とはいえ、作っちゃったので、次の検討に進めました。欲しいものはまず作ってしまうと、人生のすごろくが勝手に前へ進んでいくし、私の経験値がどんどん増えるので、今後も自分の欲しいものを自由に作っていこうと思います。

 

by
Illustrator / Art Director 兎村彩野。1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウトドアの絵を得意する。ドイツの万年質LAMY1本で描く「LAMY Sketch」が人気になる。
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